時事通信は、厚労省が発表した「賃金構造基本統計調査」を基に、以下のような記事を配信しました。

 厚生労働省が発表した2019年の賃金構造基本統計調査によると、外国人技能実習生の賞与や残業代を除いた1カ月の賃金(平均26.7歳)は15万6900円だった。日本人を含む同年代(25~29歳)の労働者全体(24万3900円)の6割強にとどまっており、低賃金で働かされている実態が政府の統計で初めて明らかになった。
 25~29歳の労働者の賃金は、正社員以外の雇用形態でも19万8900円となっており、やはり実習生より高い。短時間労働者の時給は、25~29歳の労働者全体で1151円だったが、実習生は977円(平均25.5歳)と、174円の差があった。
実習生の報酬は「日本人と同等以上」と法律で決められている。調査結果からは違法な実習の横行がうかがえるが、厚労省は「日本語や作業の習熟度にも左右されるため、低い賃金という評価は一概にはできない」(海外人材育成担当参事官室)と言葉を濁す。
 一方、外国人労働者を支援するNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平代表理事は「日本人と同等の賃金になっていない。技能実習生だから低くていいのか。数字を直視すべきだ」と訴える。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040200818&g=eco

本報道について、当組合の見解を掲載します。

実習生は「低賃金で働かされている」のか

1.「低賃金」について
報道では、実習生(平均26.7歳)と日本人(25〜29歳)の賃金を比較して、実習生を「低賃金」としています。しかし、同年代の日本人は実習生と経験年数が大きく異なります。例えば、同じ26歳でも、高卒の従業員であれば8年の現場経験があるのに対し、実習生は未経験も多いです。
また、実習生の寮についても、本来なら家賃5〜6万円のアパートであっても、実習生負担額は1.5万〜2万円程度で、超過分は受入企業が負担しています。
こういった点から、実習生と日本人は同等の賃金水準が確保されていると言えます。

2.「働か『されている』」について
実習生は現地で募集要項を確認し、自分の意志で現地面接に参加します。そこで合格すれば内定を貰います。その後、募集要項と同じ内容の雇用契約を締結します。
本人の意志で実習生として日本で就業するため、「働か『されている』」という指摘は当たりません。

実習生の「短時間労働者」は全体の3%

記事内では日本人と実習生の短時間労働者の賃金比較もされています。
先述のとおり、経験年数で日本人と実習生で給与差が出るのは当然です。これは日本人同士でも同じで、もちろん1年目の新米記者と8年目の記者とでは給与差があるでしょう。
また、実習生は正社員と同じ労働時間であるのが原則で、短時間労働者に分類されているのは実習生全体の3.3%とごく一部です。
短時間労働の実習生と日本人を比べるだけで、実習生が不利な立場に置かれているとは言えません。


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